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 路面上を延びる線路から伝わる振動が私の身体を小刻みに揺らす。サスペンションが吸収しきれずに諦めたそれは、僅かな不快感と仄かな懐かしさを私にもたらしながら、一定のリズムを刻み続ける。
 私は久しぶりに路面電車、俗にいうチンチン電車に乗っていた。
 車窓にゆっくりと流れる風景は、以前とほとんど変わらない街並みと、そこで営まれる雑多な日常をそのまま映し出していた。
「運賃はつり銭の要らぬよう、直接運賃箱へ……」
 車内に流れるアナウンスに促されて、私は財布から二百円を取り出す。目的地の駅へはあと三つある。数枚あった小銭の中から抜き出された二枚の百円硬貨は、片方がきらきらと輝いていた。一目で真新しいと判るそれは、平成十七年、即ち今年に製造されたものだった。
 ふと気になってもう一枚の製造年を見てみると、私の生まれた年と同じだった。
 新しいものに比べ、私と同級生のそれはとても薄汚く見えた。手垢に塗れ、淵に刻まれたギザギザは磨耗してなくなり、裏にエンボスされたヤマザクラの蕾も、それと判別出来ないほどに磨り減っていた。

 手のひらに二枚の百円硬貨を並べてみる。
 片方は眩く輝き、片方は薄汚れている。
 片方は今年生まれた赤ん坊、そしてもう片方は私の同級生。
 どちらも同じ百円硬貨。どちらも同じ人間。

 赤ん坊はこれから長い年月を、幾人の人々の手を渡って行くのだろう?
 私の同級生は、その生まれた年から今までに、一体幾人の人々と関わってきたのだろう?

 時には子供の大切なお年玉として?
 時にはおばあちゃんの年金から孫へのお小遣いとして?
 時にはお母さんの密かなヘソクリとして?
 時にはお父さんのホッとする缶コーヒー代として?

 その時代、その国、その人々によって価値を変え、それでも同じ“百円玉”として。

 時には数億というお金の一部になるかも知れない。
 時には自動販売機の下に何年も、誰も知らぬままに落ちていたかも知れない。

 どんなことがあろうとも、彼らはずっと“百円玉”であり、その役割を果たしていくのだろう。
 私の場合はどうなのだろう? 私は今までずっと私であり、これからもずっと私であり続ける。

 時には息子として。
 時には彼氏、夫として。
 時には友人、同僚として。
 時には父親、祖父として。
 そして時にはただ通り過ぎるだけの他人として。

 出会いと別れを繰り返し、その時、その場所、その人々によって存在価値を変え、それでも同じ“私”として。

 そんな取り留めもないことを考えている私を余所に、いつしか電車は目的の駅へと到着した。私は二枚の百円硬貨にもう一度目を遣ってから、運賃箱へと投げ入れた。彼らの新たな出会いを期待しながら。
 そして私は電車を降り、次の目的地へと歩き出した。ほんの少しだけ、街並みを新鮮に感じるような気がした。
| B.T. | 雑文 | 23:18 | comments(3) | trackbacks(0) |

コメント
どうも、めがね丸です。
100円玉2枚もいいですが、僕は200円札が好きです。
なんか綺麗でアメリカぽくって好きです。
| めがね丸 | 2005/12/14 11:57 PM |

へっ〜〜
ノスタリジックなお話も書けるんですね。
私個人はこんな文章は好きですよ。

でも、余りこね回さないでね。

でも、感心してます。
| 独裸絵悶 | 2005/12/15 12:37 AM |

めがね丸さん
なぬ? 200円札!? そんなものが!??
もしや2000円札のタイプミスなのでしょうか?
たぶんそうなんでしょう……ね!
2000円札ってそう言えば見なくなっちゃいましたねェ。
たしかにキレイなんだけど、やっぱ使い勝手がねェ。

独裸絵悶さん
むふふ。褒めてもらったんすよね? ウ・レ・シ。
うへへ。実は書けちゃったりしたんですな、ノスタルズィックなお話。
ホントはね、もっとこね回したかったんですけどね、
後半の減速具合からも解るとおり、眠気には勝てませなんだよ。
始めはノリノリだったんですけどね!
| B.T. | 2005/12/15 10:15 PM |

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