2006.07.18 Tuesday
老いてなお -Five sea breams and old woman-
お年寄りが苦手だ。
嫌いなわけではない。 ただ、見ていると切ない気持ちになってしまう。 病院の待合室でつらそうに座っている翁。 手押し車を押しながらとぼとぼと歩く嫗。 生気なくベンチに腰掛けてバスを待つ翁。 膝下ストッキングを履く対面に座った嫗。 何故だろう? とても遣りきれない気持ちを感じてしまう。 特に苦手なのが商店を営むお年寄り。 洋服屋が多い気もするが、乾物屋だったり靴屋だったりと色色ある。 彼らのお店は、その大概が寂れている。 誰が買うのか疑問に感じる商品が並べられ、 誰もいない店の奥に、ぽつねんと座る老婆が独り。 要らぬ世話なのは百も承知だが、実際心配してしまう。 NHKラジオを聴きながら、一日中座りっぱなしの彼女を想像してしまう。 朝は自慢の漬物、昼は冷麦、晩はお茶漬け。そんな侘しい食卓を勝手に思い描いてしまう。 むろん、商売として成り立っているのかも疑問だ。 果たしてあれだけで生活していけるのだろうか? 休日。 朝からパチンコにでも行こうかと通る近所の商店街。 いつも気になるお店が一軒。 魚屋。 3.5畳ほどの店構えに老婆が独り。 陳列棚には、丸焼きにされた小振りな鯛が5尾。 いつ通っても同じ品揃え。 鯛。 5尾。 お婆ちゃん。 心配で堪らない。果たして鯛は売れてるのだろうか? なので、勝ったら買って帰ろうと心に誓いながら店の前を通り過ぎる。 が、負けることの方が多かったりする。 しかも負けると気が立っているので、その店のことも忘れてしまう。 勝つときもある。 閉店まで粘っての大勝である。 これで鯛が買えると意気揚々と家路をたどる。 どれだけ鯛が残っていようとも、全て買い上げられるぞ! 閉店している。 まあ、そんなもんだね……。 |